
6−3 アウトドアーへの誘い
(高校の教育現場から環境教育の取り組み)
亀井尊(千葉経済大学附属高校)
1 はじめに
環境教育は教科の領域を越えて取り組むものであって、特定の教科だけに偏っていては環境を総合的に見る能力が養われません。と同時に生徒の主体性や積極性などはどのように育むのでしょうか。特に高校のカリキュラム上の問題点として、卒業単位の大幅な削減と土曜日隔週の休みなどから、授業時間確保の問題が発生し、教科の本質から離れた授業の展開は困難となっています。また、中学から高校へ進学する段階で、能力別に輪切りにされてきた生徒にとっては、環境教育に関した意欲・関心・理解度もさまざまであり、多様化していることも事実です。
大学進学を目指す生徒の多くは、受験教科中心の授業を望み、授業の中で確実な知識の伝達と進学に必要な知識の伝授を強く希望しています。その為、環境教育に関しての取り組みなどは困難な現実があります。
しかし、中堅校での取り組みなどでは、特別教育活動(林間学校・遠足・修学旅行など)の時間を活用して、環境に関する教育実践を行っている学校も多いようです。さらに、理科・社会科の授業展開の中で、学習した内容を土台にして、実際に行動できる生徒の育成を期している実践例もあります。
まさに、学んだ学習内容を実際に行動に移し、考えることのできる生徒の育成が、この地球環境を守る原点となるのです。
「地球的規模で考え、身近な地域で行動できる人間づくり」(Think globally,act locally)
このような活動を通して学びえた体験が確実に知識となって身についていくのです。経験は知識であり、体験に裏付けされた知識を重視していくことが、これからの人生において多くの問題を乗り越える力となり、また、難問を解く鍵となると確信しています。
このような教育実践が小・中・高と継続していくことがもっとも重要なのですが、うまく機能していないのが現状です。
さて、高校での環境教育の実践例とて本校では、月例の「自然観察会」を実施しています。日々の自然の変化を肌で感じながら、(何故だろう何かしら」といった素朴な疑問を参加者と共に観察を通して解明していくことにしています。毎回テーマを決めて、内容を掲示し生徒の参加を呼びかけています。「地理同好会」という自然と人間の関わりに興味と関心のある生徒と教員が観察会を主催しています。ときに.、学校周辺へ足をのばして、神社・寺院へ行き、地域の歴史に触れたり、街中に保存された貴重な雑木林へ行って、自然の移り変わっていくようすを観察しています。
また、毎年春と秋の2回、地域の公民館が主催する「身近な地域の自然・歴史教室」にボランティアとして参加もしています。その教室では、高校生として環境に関する勉強を通して得た知識を実際に地域で活かせることに意義を感じているようです。
地域の自然や歴史は、そこに住む人々が長い年月の中で、先祖から受け継いで大切に守ってきたものばかりです。その大切な自然や歴史を私たちが引き継ぎ、次の世代に確実に手渡さなければならない。世代を越えて地域の自然環境と歴史的遺産の価値観が普遍的な
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